薬害報道:タミフルとベロテックの類似性

実はタミフル騒動とほとんど同じような騒ぎが10年ぐらい前にもありました。それがベロテック騒動です。

ベロテックとは気管支拡張剤で喘息治療に使われる薬剤です。これも元々死亡したした喘息患者にベロテック使用者が多かったために薬害ではないかという報道が相次ぎました。詳細は以下のリンクに詳しく乗っています

http://rods.plala.jp/~s002/tokusyuu/tokusyuu.frame.html

これは櫻井よしこ氏が文芸春秋に二度にわたって寄稿し、薬害を訴えたあたりから大きく報道されるようになりました。この影響力がかなり大きかったようです。また、タミフル同様薬害オンブズパーソンの浜六郎氏もキャンペーンに参加し、これまた同じように厚生労働省や製造元に販売中止、薬剤回収等を要望してます。

浜六郎氏のデータの解釈もタミフル同様薬剤の危険性を訴えるために都合の良いデータを抽出しており、非臨床の毒性試験の結果をヒトで起きる有害事象に結びつけるのも同じでした。ワンパターンですね。

しかし、インフルエンザと異なり、患者団体のある喘息はタミフルのようには行きませんでした。患者団体からの強烈な反発があったのです。以下がその詳細です。

http://www.fsinet.or.jp/~aichan/topix/righttopics16.htm

薬害を訴えるのは患者のためと思っていたのですが、どうも薬害オンブズパーソンの行動理念は良くわかかりませんね。

結局、患者はおろか学会のサポートすら受けられなかったこの薬害主張はまったく受け入れられず、混乱をもたらしただけでした。しかし、上のリンクでも紹介されていますが、吸入剤が危険という誤った印象を受けた人もいたようです。これで治療を中断してしまったために喘息を悪化させた人は訴えても良いかもしれません。

報道は自然にフェードアウトし、先頭に立っていた櫻井よしこ氏もその後だんまりを決め込んでしまいました。フォローは一切無しです。ほとぼりが冷めるのを待ったという感じでしょうか。

薬害オンブズパーソン会議のHPには2002年ごろまで本件のフォローが続いており、ベロテックの消費減少に伴って死亡数が減少しているのは当会議の功績のように書かれていますが、元々ベロテックの売り上げは問題が取り上げられた頃にはピークに達しており、以降の減少は新薬の通常のライフサイクルと言えます。喘息死が減少傾向にあるのはその後ステロイド吸入療法が効果を発揮しつつあるためでしょう。そもそもベロテックは使用され続けたわけで、オンブズパーソンの主張が本当ならベロテック使用者に関しては死亡率が不変であるはずです。活動の成果を強調するならそのデータを出せば良いのではないでしょうか。見たこともありませんが。

タミフルの場合、報道もすでに沈静化しつつあります。今回タミフルの十代への投与が制限されたことで、タミフルが異常行動の原因になっているのであれば次のシーズンには激減することでしょう。次のシーズンでマスコミがどういうふうに報道するか注目ですね。